こんにちわ、獣医師の石原です。
先日は、西東京エリアもなかなかの積雪量でしたね!通勤・通学に支障が出た飼い主様も多かったのでは?
雪に不慣れなこの辺りでは、色々と不便もありつつ、たまの雪は新鮮に感じるものですよね。ワンちゃんも共感できるのではないでしょうか?
かの有名な歌にあるように、雪に喜び庭駆け回るワンちゃんも多いと思いますが、ワンちゃんが雪景色にテンションが上がる理由として、視覚的にも嗅覚的にもいつもと違うという事が挙げられるかと思います。
しかし、これは裏を返すと、普段から頼っている「視覚」と「嗅覚」の情報に頼れない状況、とも捉えられます。
雪の下に隠れている段差や危険物に気付けなかったことによる事故や怪我のリスクは、もちろん高くなります。また、非日常に伴う緊張感や高揚感から、普段は飼い主様の居場所を常に気にしてくれる子でも、夢中になっているうちに飼い主様を見失ってしまって迷子になってしまう例も珍しくはありません。
雪の日の外出は、自宅のお庭など熟知した環境で確実に抜け出せないように囲まれた所でなければ、決してリードを外さず、なるべく地形を理解した所を選ぶのが安心ですね。
雪遊びに伴う危険として、体温調整と凍傷のリスクも挙げられます。雪遊びに熱中しているあまり、体温の上昇によって体についた雪が溶けて体温が奪われたり、肉球が霜焼けになったりという危険性があります。
また、犬種によっては被毛に「雪玉」が出来やすかったりします。ワンちゃんの被毛に付いた雪が、体から出る蒸気などの水分によって毛を巻き込みながら雪の塊になることで「雪玉」が出来ます。そしてその「雪玉」に更に雪が付着していくことで、雪だるまの原理で塊が大きくなっていきます。(私も子供の頃に一緒に暮らしていたゴールデンを雪山に連れて行って、前胸が「雪玉」だらけになり、対処に苦戦した思い出があります)
雪遊びは時間を決めて切り上げさせ、しっかりと体を乾かすことが大切です。特に体力のない仔犬やシニア犬、シングルコートの犬種は濡れたままになって体温が奪われていく状況を防ぎましょう。「雪玉」はそのまま引っ張ると痛いので、ゆっくり溶かして被毛から外し、濡れた毛は毛玉にならないようにときほぐしましょう。
雪遊びをさせると楽しそうに雪を食べるワンちゃんの話をよく聞きます。雪は本来ならば溶ければ水なので、ワンちゃんが食べてしまっても大きな問題にはならないと思われがちですが、都会の雪は少し事情が違います。
都会で積もる雪は、空気中の不純物のみならず、地面のゴミや他の動物の排泄物、融雪剤や凍結防止剤を含んでいる可能性があります。
他の動物の排泄物は伝染病の伝搬の可能性がありますし、融雪剤や凍結防止剤の摂取による中毒もあり得ます。ワンちゃんが雪に興奮して食べてしまう場合は、なるべく制御するに越したことはないと思います。
汚染の可能性が少ない綺麗な雪であっても、氷点下の雪を食べる行為は胃腸に負担がかかることが想定されます。例えば、雪合戦の時の一般的な雪玉が100gくらいとします。5kgのワンちゃんが100gの雪玉を食べた場合、50kgの成人が1kgの雪の塊を食べたのと同等だと想像してください。体は急激に冷え、胃腸の運動は低下します。
上記の他、元々関節に問題を抱えている子が冷えにより関節の痛みが悪化することもありますし、心臓機能に不安がある子は急激な気温の変化が悪影響を及ぼす可能性もあります。
この地域では珍しい積雪は、人間もワンちゃんも存分に楽しみたいですよね。安全に楽しめるために、ワンちゃんの雪遊びのための注意点を今一度、予習・復習していただければと思います。
ちなみに、相変わらず月に二回は日光に行かされていますが、日光の積雪量は東京と桁違いでした…
posted by ベルどうぶつクリニック at 11:07| 東京 🌁|
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